■相続人の調査
相続人の調査のためには、多くの戸籍謄本等を取得する必要があります。古くからの戸籍等を確認しなければ、すべての相続人を確定する事が出来ないため、銀行などの金融機関に預金の相続の手続きに行った場合に、非常に多くの戸籍を取得しなければならず大変な思いをされた方もいらっしゃると思います。その中には、原戸籍(戸籍を改製した際の元の戸籍)、除籍(死亡・転籍などで誰もいなくなってしまった戸籍)など普段聞き慣れないものも必要であり、相続人が多数の場合には、膨大な量の戸籍が必要となることも・・・。なお、不動産の登記が必要な場合にも、法務局に戸籍の提出が必要です。
■遺産(相続財産)を誰がどのように受け取るのかを決めるのは、大別して以下の3つの方法があります。
1.法定相続分で分ける。
相続人には民法に定められた相続分が決まっています。たとえば相続人が故人の配偶者と子供2人なら配偶者が2分の1、子供2人がそれぞれ4分の1づつを分けるという事になります。この法定相続分というものは相続手続きの上では一番の基準になる重要なものですが、実際に遺産を分ける際には厳密にこの基準通りに分けているケースはむしろ少数かもしれません。なぜなら相続財産に不動産が含まれる場合、不動産を多くの相続人の共有にすることが望まれない場合も多いですし、車やゴルフ会員権などはっきりと分けることが難しいものもあるからです。従って多くの場合は次に述べる遺産分割協議を行った上で遺産の分配をすることになります。
2.遺産分割協議を行って分ける。
誰がどのように遺産(相続財産)を受け取るのかを、相続人全員の話し合い(同意)によって決めるのが遺産分割です。遺産「分割」というと法律用語で少々わかりにくいかもしれませんが、遺産「分配」と言えばイメージしやすいかもしれません。
遺産分割協議書の書式はさまざまですが、全員が実印を押印し印鑑証明書を添付して作成する必要があります。
■遺産分割こんなときは・・・
・相続人の一人がすべての財産を受け取りたい
→遺産分割協議によって相続人全員の同意があれば財産の分け方は自由です。
・故人の遺した遺言書の内容と違うかたちで財産を分けたい
→遺言書があっても、相続人全員が同意すれば遺言書と違う内容でも構いません。
・相続人に認知症などで協議が出来ない人がいる
→協議が出来ない方に後見人等の代理人をたてて 、遺産分割をする必要があります。
・相続人の一人が行方不明
→裁判所に申立てし、不在者財産管理人をたてて 、遺産分割をする必要があります。長年生死不明の状態であれば失踪宣告という方法をとる事も考えられます。
・相続人間で話し合いがまとまらない
→裁判所に調停を申し立てて協議する方法が一般的です。それでもまとまらなければ、訴訟手続きに移行します。
3.遺言書に従って分ける。
故人が遺言書を遺していた場合には、遺言書の内容に従って遺産を分けることになります。なお、遺言書と違う内容の遺産分割協議を行うことも可能です。
■遺言書こんなときは・・・
・遺言書が故人の自筆で書かれている
→家庭裁判所で検認手続き(遺言書の形式チェック)をしなければなりません。なお、遺言書に封がされている場合は開封せずに裁判所に持参します。
・遺言書を作ったと聞いていたのに見つからない、あるかどうかわからない
→作成した遺言書が公正証書であれば、公証人役場で検索が可能です。
・遺言書を開けてみたら、自分にまったく相続分がない(遺留分について)
→遺言書に書かれている内容が相続人の最低限の相続分を侵害している場合は、遺産を受け取った人への請求が可能です(遺留分減殺請求)。遺留分の請求は、侵害があることを知ってから1年以内です。
実際の遺産分割の手続きにあたっては、上記のほかにも様々なケースがあり、注意しなければならない点や、必要な手続きは個別の案件によってまったく異なりますので、詳しくはお気軽に当事務所までご相談ください。
当事務所では、相続財産・相続人の調査、把握、遺産分割協議、各種手続きまでトータルにアドバイスします。